第30回読書会レポート (01/30)



第30回読書会議事録
  日時  :2016年1月30日15:00~17:00
  場所  :堀留町区民館 1号室洋室
  課題図書:破綻する特許 第8章~第12章
  参加者 :
@tparkmさん(発表者)@amuletさん、@rienovaさん、@tanatos0307さん、Hkさん(議事)



第8章 中小の発明者
・価値のある出願について
  多数の発明を出願すると、一定の割合で良い発明が含まれている。
→ 良い発明をする発明者(またはグループ)は決まっているのではないか?やはり、筋の良いテーマを設定し、うまいアプローチをできる人が多くの発明を提案するようである。
→ ブレインストーミングを行ってアイデアを探す。絞込みを多数決で行うと、平凡なものが残る傾向がある。一方、上司の意見などで決定されるのも好ましくない。本人以外の賛同者がいるかどうかで判断している。
→ ネガティブな意見もOKとするやり方を採用する場合がある。そうすることで現実的なアイデアに収束する。ネガティブな意見は、単に否定するだけではなく、対案を出すことが重要である。また、特定の課題の解決など、目的意識を共有することで、議論が収束しやすい。ファシリテータの役割も大きい。

・中小企業の出願について
→ 特許庁の資料の大企業の割合0.3%について、分析の前提として企業数で見るのは相応しくない。従業員数でいうと大企業は全体の約30%となる。(2015年統計は以下)
     http://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/chushoKigyouZentai9wari.pdf
→ 割合が30%だとしても88%の特許出願は多く、やはり大企業が大多数の特許を出願している。
→ 中小企業は、予算の問題や、競合・市場の状況が、大企業とは違うことから出願数に対するインセンティブも異なる。
→ 最近では、大企業との共同研究・共同開発の前に出願をしたり、ファンドから融資を得るために特許が必要な場合もあり、そうした目的で出願する中小企業もある。

第9章
・著者が言うソフトウェア特許には、ビジネスモデル特許も含まれていないか?

・ビジネスモデル特許について
→ ビジネスモデル特許が特許として認められるようになった当時は、一時ブームになり、質の悪い出願もあった。
→ 大企業の多くは、(ビジネスモデル特許が不要と思われる業種でも)ビジネスモデル特許を出願していた。
→ (将来が読めないことから)ビジネスモデル特許を認める制度がある以上は、出願しないことでリスクを負うことはできないと判断し、出願するしかなかったという側面もある。
→ 出願はしたが、実際に中間処理をした記憶はない。(審査請求しなかったものと思われる。)ビジネスモデル特許は2000年頃までの出願が多く、当時は審査請求期間が7年だった。その間にビジネスモデル特許の有用性がある程度わかってきたため、不要と判断されるようになったものと思われる。

・ソフトウェア特許について
→ 特にファームウェアの特許は、侵害発見が難しい。また、侵害があったとしてもアップデートで一瞬で回避できてしまうため、損害賠償額が多くなりにくい。
→ それでも出願するのは、出願することによる安心感や、牽制効果を狙ってのことと思われる。
→ 単なるアイデアでは侵害発見が難しいため、侵害品の判別ができるような限定をすることがあるが、その限定のため技術の進歩によって権利行使が難しくなることもある。

・多数の特許で技術を保護することについて
→ 他社の参入を防げたことが、特許のおかげであるのか、その技術に魅力がなかったのか、判断が難しい。他社が代替技術を使っていることも多々ある。

・技術の守りすぎによって、市場が大きくならないというジレンマもある。
→ 3Dプリンタは基本特許が切れてから市場が大きくなった。
→ 反射型液晶はキャノンが出願していたが、特許が切れてから、使われだした。
→ SEDは、キャノンが特許網を構築したため、製造設備が全て特注(=コスト高)となり、参入企業が多い液晶とコスト勝負できなくなった。
・これらとは逆の戦略がオープンクローズ戦略となる。
→ トヨタは燃料電池の特許を(期限付きで)無償提供する戦略をとっているが、うまく  いっていないようだ。ライセンス期限や全ての技術が対象ではない点が問題かも?

第10章
・予見可能性、裁判所の判断のゆらぎについて
→ 適切な証拠を準備し、説得力のある主張をした方が勝つ。弁護士の実力で決まる面もある。
→ 個別事案的に、悪意や瑕疵の有無などによって権利が制限されることは、とりわけ問題ではないと思われる。

・権利範囲を広く解釈しようとすることについて
→ トロールの問題のように見える。まともな企業どうしの交渉では不合理な結論になることは少ない。
→ マークマンヒアリングだけを実施するのはどうか?
  → イ号がないと判断できないのではないか?

・審査と侵害で、権利範囲の解釈は変わるし、同じ審査でも数年で基準が変わる。また、審査官に よってもぶれがある。

・数年後の技術の進歩を予測してクレームを作るのにも限界がある。
→ カーナビの特許出願があるが、車載限定がほとんどで、現在のスマホのナビをカバーできていなかった。(パイオニアvsナビタイムの訴訟)
→ 実施可能要件があるため、実施できそうにないクレームを当時は作れなかった。

・公示機能のグレーゾーンは、特許固有の問題ではないと思われる。
→ 物権はともかく、債権や契約書でグレーなものが多い。

第11章
・補正の制限について
→ 著者は継続出願も含めて制限が必要であると意図しているかもしれない。
→ 現在の米国特許制度では、諦めずに資金があれば、いつか登録できるという感じである。粘ることで、裁判官が変わったタイミングなどで特許になることも・・・。

・最高裁判決の影響で、CAFCが判決を出さなくなった。=地裁に差し戻すようになった。
→ トライアルも再度行うため、あまり良いことがない。弁護士だけが潤っている・・・。裁判をやったら負けである。


・中所企業活性化のためのキャラバン隊の活動がある。
→ 2年で20件(20社)の実績。需要がない?
→ 企業経験がない弁理士では、コンサルをやるには研修が不十分な感もある。

第12章
・論点の繰り返しのため、議論なし。

以上




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