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第29回読書会レポート(11/27)

第29回読書会レポート(11/27)

日時:2015年11月27日19:00~21:00
場所:京橋区民館
課題図書・範囲:
破綻する特許(ベッセン&モイラー) 第6章・第7章



参加者:KMDさん(第6章発表者)、amuletさん(第7章発表者)、tanatos0307さん、shun5_fさん、yng4さん、ARSUさん、tparkm(記録)

夕方冷え始めましたが、快適な区民館での読書会でした。

議論された内容を簡単に記します。

第6章 紛争のコスト

・化学と製薬業界以外は特許制度は負のインセンティブがあるという点(P.159,図6.5参照)を、現在の特許制度が崩壊している根拠としている。しかし日本では業界に関係なく正の相関があるというデータも出ている(例えば、5.知的財産権の取得による効果 - 中小企業庁 http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h21/h21/html/k2350000.html)。感覚としては本書のデータが腑に落ちる。
・R&D支出が高いほど訴えられる率が高くなることを述べているが(P164)、R&D比率が高ければ新製品が発売されることも多くなり結果として製品が特許権者の目に触れる機会が多くなってきているからではないのか。
・また近年特許訴訟が多くなってきているのもITの発達により他社製品の技術がWeb等で比較的容易に知ることが出来るのも原因かもしれない。
・ビジネス上のコスト(P.156,表6.2)で言えば、特許侵害訴訟の中央値は290万ドルでそれほど高額ではない。しかし平均値が2870万ドルと高いのは、少ない高額賠償金訴訟があるためだろう。
・大企業に比べ中小企業が訴えられない(P.162,表6.3)のはうまくやっている訳でなく、単純に製品が特許権者の目に留まりにくいことと、訴訟費用はほぼ一定であればより高額の賠償金を取れる大企業が優先にされているためではないか。

第7章 特許の公示機能はどれくらい重要なのか?

・著者は特許の公示機能が破綻していることを言いたいために、結論ありきで論述しているように見える。例えば、2000年のUS特許法改正により原則全ての出願は公開される(国内のみの出願であれば非公開も可能)されることになったことや、MarkMan判決により全くの素人である陪審員ではなく法律専門家である裁判官がクレーム解釈をすることになったことで公示機能は改善されているはずであるが、この点についての言及はない。またデータの検証がきちんとされていないもの(例えばP.173,表7.1)もある。
・化学と製薬業界が特別という話は頻繁に出てくる。
・公示機能の低下以外の要因を否定しているが、実際にはトロール訴訟の増加が特許侵害訴訟の一因になっているのではないか(この本が執筆された時期を過ぎているが、2013年には67%がNPEの提訴であるというデータもある。「米国における知的財産訴訟制度(特許訴訟制度)の調査結果(報告)法務省大臣官房司法法制部」http://www.moj.go.jp/content/001142280.pdfのP8)
・ソフトウエア技術が無効になる確率が低い(P.176,表7.2)のが興味深い。無効判断は地裁では裁判官がサマリー・ジャッジメントで無効とするか陪審が評決判断するため、ソフトウェアのように判りにくい(フィジカルトランスレーション出来ない)ものは無効判断がしにくいのではないか?
P.179,表7.4で電子業界が訴訟率の増え方が他の業界に比べて少ない。この電子業界というのが半導体業界とするなら、そもそも購入が難しい製品であるためかもしれない。ただしダミー会社を使って製品を購入することをビジネスにしている会社もある。
・RIMや初期のMicrosoft(共に特許訴訟で痛い目を見ている)のようにベンチャー企業は特許クリアランスをおろそかにすることが多くこれによって特許訴訟に巻き込まれることが多いようだ。逆に大企業はクリアランスは(程度の差はあれ)行っているが、実際にはクリアランスの範囲で訴えられることは少なく、トロールに関連性の薄い特許で訴えられることが多くなる。
・この章の話とは異なるが、特許が商品の差別化になっている例は少ないのではないか。営業が判っていない?


第29回
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