第15回読書会レポート

読書会事務局の@marunireです。

日時:2013年6月9日(土)13:00〜15:00
場所:月島区民館
課題図書:丸島儀一著『知的財産戦略』第6章
参加者:@marunire さん「発表者」、@yng4さん、@akikokaさん、@amulet2409さん(記録係)

@marunireさんが事前に配布した資料をベースにしながら、色々と話が飛びました。

・国際標準化活動は、どこの部署が担当しているか? 丸島氏が書いているような社長直轄の統括組織は存在するのか?
A社:知財部門が主査として活動している。
B社:知財部門が主査だが、活動している担当者は権利化などの知財業務経験者ではない。
品質保証などの仕事をしていた人が、知財部門に籍を移している。
C社:事業部等から標準化団体への加盟希望が出た際に、知財部門が社内調整の事務局になる。
実際の標準化活動は、加盟を希望した部門が行う。

・パテントプールのライセンス条件
条件は、プールによって様々である。
最終製品のメーカーがパテントプールに加盟している必要がある場合がある。
有名どころでは DOLBY。最終製品に、ライセンスロゴを付ける事を要求している。


・パテントプールのライセンス料徴収について
多くの日本企業は真面目に申告してライセンス料を支払う。
しかし、そうでない企業(主に外国) もあるため、パテントプールは監査を行っている。
監査は CPA資格者などが数日掛けて徹底的に行う。


・国際標準化にPCTを活用しているか?
全員:本書に記載されているような方法での活用は行っていない。
D社:出願対象国を絞っているので、パリルートの方が安い。
そのため、PCTの活用は少ない。
E社:予算が厳しい時に、PCTを使って費用発生を遅らせる事がある。
特許性の低い外国出願の選別に、PCTのWO/ISAを使い始めた。
F社:出願対象国が多いためか、比較的PCTの利用が多い。
予算発生時期調整のために、PCTを使う場合もある。


・外国出願国の選択
第1優先:全員が米国
第2優先:中国が多いが、台湾という場合もある。扱っている技術や製品の特性により異なる。
情報:Samsung は、一時期中国出願に注力していたが、今は中国には出願していない。
中国で権利化しても、権利行使ができない(難しい)のが、その理由である。


・中国の市場と特許
中国は、国内市場が大きいため、自国の都合でルールを作れてしまう。
模倣品を市場に投入して顧客からのフィードバックを受ける事は、技術獲得を加速する。
中国企業はこれで技術力を伸ばしている。


・P163 のX社のような、新規参入に特許を活用した事例はあるのか?
すぐに思いつくような事例は無い。
新規参入時にはライセンスを受けるのが一般的ではないか。
富士フイルムの化粧品は、元々持っていた写真用フイルムの技術を応用して新規参入した。
特許に力を入れている会社だから、うまく活用したかもしれない。
しかし、具体的な話は公開されていない。


参考:富士フイルムの化粧品にリンク



以下、勉強会の様子:和室でした。

第15回読書会01
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第14回読書会レポート

読書会事務局の@marunireです。

日時:2013年5月22日1(水)19:00〜21:00
場所:八丁堀区民館
課題図書:丸島儀一著『知的財産戦略』第5章
参加者:@shun5_f さん「発表者」、@furyoshainさん、@ama_sciさん、@amulet2409さん、@princeduckchanさん、@ysmatsudさん、@marunireさん、@slowstartermnさん、@akikoka(記録係)さん

当日、参加者で議論したことを簡単にご紹介します。

・リバースエンジニアリングで侵害確認できるのか?
 技術分野によるが、できるものもある。
 某メーカーでは、他社製品を購入し社内で解析している

・自社と他社の読み合いが知財の醍醐味?
 自分で手を動かして、物作りに携わっていた方が面白いのではないか。
 特許を権利化し、ライセンスを行う一連の流れは楽しいとは思うが、パテントマップを眺めるのが楽しいとは思わない。

・思いつきだけで特許を出願し、権利化できるのか?
 キヤノンには、そういった類いの出願が散見される。
 化学分野では難しいが、ソフトウェア分野では可能なこともある。

・パテントトロール(NPE)は本当に悪なのか?
 法律上は容認されている。(ただし、米国では損害賠償請求のみ可能で、製品差し止めはできない)
 メーカーの立場からするとトロール対応の負荷が大きく、悪と言いたくなる。

・知財信託は本当に活用されているのか?
 著作権については、米国で成功事例がある。
 特許については、特許評価が非常に難しいことが障害となって、目立った成功事例がない。

・権利調査は本当につまらない仕事なのか?
 他の調査とは違い、技術(調査範囲)が明確でないことが多い。それを第三者的な視点でチェックしていくところに面白さがある。
 著者が指摘するように、権利調査を完璧にすることはできない。ただし、少なくとも化学分野では、検索精度を上げて99%に持っていくことは可能。


<所感>
私自身は新卒の頃からずっと電気メーカーの知財に勤務しており、著者に近い経歴です。そのため、著者の意見に納得することが多いのですが、立場が異なると違った見方ができることがよくわかりました。


以下、勉強会の様子です。

第14回読書会02