第54回読書会レポート



第54回知財系読書会 議事録

日時:2020年12月21日 21:00-23:00
参加者:うさぎさん(担当)、akikokaさん(途中退出)、hikitaさん、tparkmさん、KMDさん、maruokaさん、rienovaさん(途中のみ)、amulet(記録)
場所:zoom
課題図書:「イノベーターのジレンマ」の経済学的解明
 
本議事録は、読書会中のチャットメモを少々整えたものです。
この本の概要:
 クリステンセン著「イノベータのジレンマ」を、経済学的に検討した。
 本書の結論は、「イノベータのジレンマ」に書いてあったことは正しい。
1章:3つの経済理論
2章:共食い
 製品の特徴と、イノベーションの分類との関係
  同質材:プロセスイノベーションのみ。
  垂直差別化材:プロセスイノベーションとプロダクトイノベーション両方。
 半導体チップは、参入障壁が高いが、プレーヤー間の共食いも発生している。
 水平差別化材:未成熟な製品で、同質材にならない。
   →ファブレスが適しているが、そうするとプロセスイノベーションはできない。
参加者からの情報提供とディスカッション
・半導体は、プロセスの世代が1つ進む度に、投資がかさむ。
 新世代の技術では、1枚のウエハから取れるチップ数は増加する。
 先端設備に対する投資を回収するには、従来よりも大量に製造し、販売しなけれならない。
 これについていけない企業が、ファブを売り渡して、ファブレス化に進む。
・撤退する企業から低価格でファブを買い取り、旧世代の技術を使った半導体製品を安価で製造販売して、利益を出している企業もある。
・最先端技術のファブを維持できなくなったプレイヤーからファブを買い取ることで、プレイヤーが交代している面もある。
・ファブを手離して、設計だけに特化 → 設計を手離してコンセプトだけ考える という方向の変化もある。
・半導体の微細化の最先端を追求すると、製造装置が超高価。少し古い世代の製造装置でも差別化した製品を実現できる分野は存在する。
 その場合、最先端プロセスから遅れたファブを中古で買って活用できる。 
第3章:抜け駆け
・FBとインスタグラムは、ビジネスの価値が持ち主によって違う事例。
・言われてみれば、両者は確かに似ているビジネス。
・米連邦取引委員会(FTC)が、独占禁止法違反でFBを訴えている。
   https://www.businessinsider.jp/post-225888
参加者からの情報提供とディスカッション
・コダックのデジカメ事業は、自社では企画だけ行ない、開発&製造を下請け企業に任せる方向に舵を切った。
 その後、外注が力を付けて、コダック以外にも売り込むようになっていった。
 当時のコダックは、下請け企業からも、その顧客からも多額の特許ライセンス料を受け取っていた。
 しかし、技術開発を手離した後は、新たに有効な特許は出なかった。
 日本企業は、開発を手離さなかった点が、コダックとの決定的な差を生んだ。
・昨今の中国企業は、プロセスイノベーションでは頑張っている。
・日本企業も、過去にはプロセスイノベーションから。プロダクトイノベーションに重心を移した。
 中国も、同様に今後はプロダクトイノベーションに注力して、成果を出す可能性もある。
・中国政府は、特定の産業に重点的に補助金を出して育成している。
 補助金を受け取った中国企業間の競争を厭わない。
・日本の場合はコンソーシアム形式等で、補助金を受けた日本企業間での競争は生じないように調整している。
 だから、勝てない?
第5章~
 数式は登場するが、数式の説明が足りないので、物足りない。
第9章、第10章
 モデル化して、シミュレーションした結果の説明。
 既存企業に足りないのは、能力ではなく、意欲。
参加者からの情報提供とディスカッション
・P276「新部門を分社化し、旧部門との共喰いをも辞さない」という進め方は、きちんとやれば有効性が高い。
読後感想-1
・経済学では数学が必要とは聞いていたが、こういうことをやるとは知らなかった。
・シミュレーションについては、説明が不十分だと感じるが、このシミュレーションをいじれると面白そうである。
・しかし、「特許制度が存在しなかったら?」というシミュレーションは、このシミュレーションでは多分無理だろう。
読後感想-2
・あまり面白くなかった。
・車の買い替えの検討の部分は、局所的に面白かった。
 でも、現実には検討するパラメータが多いから買い替え最適時期を計算するのは無理。
読後感想-3
・組織も、人と同様に老いていく。その栄枯盛衰を数式で表すのが、経済学か。
・シミュレーションで実際にやっているのは四則演算で、大したことはやってないようにみえる。
・マイクロソフトが半導体に参入するとのニュースが出ている。googleも、半導体の研究開発は進めている。
 世の中的に、半導体のプロダクトでの差別化を狙う方向の潮流が出て来た。
 最適化したモノづくりにより、良い製品ができるという、過去の状況に戻ってきたが、日本企業はその流れについていけてないのでは?
・インテルは、多くのユーザが使いやすい製品、互換性を確保した製品を出してきたが、ハイスペック領域では、専用設計のメリットが出てきている。
 webベースで動くソフトウェアが多くなったので、互換性を守る必要性が低下している。
読後感想-4
・あまり腑に落ちなかった。
・たとえば、能力格差で既存企業が有利という話について
 新製品を実現するために外部から色々な技術を取り入れているが、新しい技術を見つける能力は、必ずしも既存企業が高いわけではない。
・政策には期待できないというが、中国の助成金の例で判るように、政策も重要。
・苦しい時は、生まれ変わるというよりも、今の延長での成長に苦労しているのが現状。
 共食いの容認だけでは、生き延びれそうにない。
読後感想-5
・以前から、シミュレーションに興味を持っていたので「イノベータ―のジレンマ」をシミュレーションで実証しようとする取り組みが面白かった。
・ただし、論文に載せるケースはベストケースで、当てはまらないケースも多いのが実態。
・「イノベータ―のジレンマ」に掲載されていた事例を越えられていない点は残念。
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第53回読書会レポート



第53回知財系読書会 議事録

日時:2020年7月29日 19:00-20:20
参加者:maruokaさん(担当)、hikitaさん、KMDさん、ama_sciさん、tparkmさん、amulet(記録)
場所:zoom

課題図書:ストーリーで学ぶデジタルシフトの真髄 現場と取り組むデジタル先進企業の挑戦秘話
本書は、三井住友ファイナンス&リースという銀行系のリース会社の取り組みを、物語仕立てでまとめた本。
各章の末尾に「解説」がついている。
<デジタル化に成功した要因>
・定型化された業務を、複数の人が繰り返し実行している。 ←デジタル化に向いた業務の存在
・業務改善を担当する部門が存在する。
・上記部門に、プログラミングの技術を持つ担当者が居た。
・「内製化」を行なう意思があった。 ←企業の価値観
 途中で外注に依頼してうまくいかないなどの失敗もあったが、断念せずに内製化に切り替えて推進した。
<デザインシンキング(思いついた解決策を少しでも早く現場で試すことを優先して、迅速な課題解決を図る)>
・似た概念で「アジャイル開発」は良く耳にするが、実際に成功したケースは聞かない。
・コロナ対策のなか、伝統的な日本企業でもソフトウェアに関してはフットワークの軽い動きも出てきている。
・しかし、ハードウェア製品に関しては、難しいだろう。
  
<ロボット導入時の問題点>
・操作するボタンを座標で記憶するので、画面サイズ等の環境を揃える必要がある。
      ↓
 ロボットを使う作業以外にもPCを使う環境では、まだま使いにくい。
<ロボット、AIの活用例>
・特許管理システムを入れ替える際に、包袋ファイルの移行にロボットを使用した。
  社内に、
   ・ロボットに詳しい人
   ・知財業務に詳しい人
  の両方が揃っている必要がある。
・特許維持年金判断を依頼する際の宛先処理
  担当者の退職、異動等で、宛先を変更する処理に使用する。
・米国訴訟のディスカバリー書類の自動分類
・(昔の話だが)各国特許庁からの公報ダウンロード
   Tiffで1頁づつダウンロードしてから、1件ごとのPDFを作成する処理を各社で実施していた。
・代表メールアドレスで受けたメールを各担当者に自動配布する。
   
=============
<おまけ:zoomでの読書会について>
・今回の読書会、当初は春先を目指していましたが非常事態宣言等で延び延びになり、初のzoom開催に踏み切りました。
・リアル会合と同じ19:00スタートにしましたが、この時間だと自宅からの参加は難しいという方が複数居ました。
 当面、リアル会合は難しそうです。次回以降のzoom開催では、21:30頃スタートの方が良さそうです。

■第53回読書会 開催予定

1.課題図書 茂木 俊輔 「ストーリーで学ぶデジタルシフトの真髄 現場と取り組むデジタル先進企業の挑戦秘話」
https://www.amazon.co.jp/dp/4296103067/

デジタル先進企業の現場で一体何が起きたのか?
七転八起のノンフィクション挑戦ドラマ!
他では読めないデジタルシフト成功の極意が満載!


デジタルシフトを進める際の課題は数知れず。何を準備すべきか、どこから手を付けるか、現場にどう根付かせるか、組織体制はどうあるべきか、担当者はどう行動すべきか--。
実践現場やマネジメント層、さらには経営層が抱えるこうした悩みについて、抽象的な教科書や成功をアピールしがちな導入事例本からは答えは得られない。
本書は実在の先進企業、三井住友ファイナンス&リースが数年間にわたって現場とデジタルシフトに取り組んだ挑戦のストーリーをまとめたものである。
AIやRPAの実践エッセンスを、関係者が取るべき具体的なアクションレベルにまでかみ砕いた指南書に仕上げた。

「頼むから、今のやり方、変えんといて」
「使いものになってないよ!いったい何のためのロボットなんだ」

現場は日々忙しい。
その意識を変え、既存の業務プロセスを改め、ついには現場に歓迎され、新ビジネス創出につなげようと苦心する担当者たちを追いかけた5本のストーリー。
そこには共感するだけでなく、彼らが一貫して顧客を向き、ビジネスを起点にテクノロジーを活用していく態度に目を見張るはずである。
同時に現場や担当者を支援し、やる気を引き出す全社的な組織体制づくりはどの企業にも役に立つ極意と言える。
そして、米GEの流れをくむ改善のカルチャーや、先端技術活用に際して内製にこだわる姿勢には多くのヒントを読み取ることができるはずだ。

2.発表者:@maruoka
3.日 時:7月29日(水)19:00-21:00
ZOOMでの開催になります。
会員以外で参加ご希望の方は
事務局連絡先:marunire@yahoo.co.jp
題名を「第53回読書会」としてご連絡ください。

第52回読書会レポート (3/4)


日時:2020年3月4日 19:00-20:30
場所:八丁堀区民館
参加者:リアル参加:maruokaさん(担当)、kawamuraさん、yng4さん、amulet(記録)
    スカイプ参加:ama_sciさん
課題図書:くまモンの成功法則 愛され、稼ぎ続ける秘密
・くまモンを支える組織について
 本書に記載されている範囲では、かなり理想的な組織である。
 「皿を割れ」と言ってくれるような上司は、なかなかいない。
 担当者は、公務員試験に合格した普通のの地方公務員のはずだし、異動も多いようだが、元政治学者の知事の力量が大きいか?
・くまモンのデザインについて
 全体がみえなくても、くまモンと認識できるデザインの力もヒットの理由だろう。
 情熱大陸によると、水野氏は目の配置、口の配置等大量のサンプルを作ってデザインを決めていた。
 表情は変わらないのに、観る側が色々な表情に解釈できる。
 既存のイラストを着ぐるみにしたのではなく、もともと立体的な着ぐるみとしてデザインされたことも強みの一因かもしれない。
 単なる素人ではなく、派手なアクションができる人を最初から採用している点もヒットの理由だろう。
 ハローキティやミッキーマウスと、くまモンとで、認知度、好感度を比較したデータ(雑誌記事)の紹介
   くまモンの好感度と認知度は、ハローキティやミッキーマウスと遜色ない。
   特に、大人からの好感度は高い。
・商標
 早い時期に商標を出願している。
 ただし、文字商標だけで、くまモンのイラストは商標登録していない。
 外国出願は、中国、香港、台湾、韓国、シンガポール、タイ、米国、EU、インドネシア、マレーシア、ベトナム、オーストラリア、フィリピン、ラオス等。
 マドプロ非加盟国にも出願している。
 疑問1.1件目は熊本の弁理士が代理人だが、2件目以降本州の大手事務所が代理している。
      役所の出願なのに、地元の弁理士ではなく本州の大手事務所を選んでいるのは何故?
 疑問2.1出願多区分指定が可能な勧告で、分類ごとに別出願にしている理由は?
  参加者に、商標の専門家が居ませんでした。
  情報のある方、御教示ください。

■第52回読書会 開催予定

1.課題図書 チームくまモン『くまモンの成功法則 愛され、稼ぎ続ける秘密』
https://www.amazon.co.jp/dp/B07G31VXKW
2.発表者:@maruoka
3.日 時:3月4日(水)19:00-21:00
4.場 所:八丁堀区民館
アクセス : 東京メトロ日比谷線またはJR京葉線八丁堀駅下車
A2番出口 徒歩2分

リンク先の地図をご覧ください。
http://chuo7kuminkan.com/about/hachobori.html

■内容紹介
関連商品売上、年間1400億円(2017年)!
海外進出!
紅白・歌舞伎座にも出演!
なぜくまモンだけが?
2010年の誕生以来、いまや日本だけでなく、世界各国で愛される存在となったくまモン。なぜ一過性のブームで終わらず、右肩上がりの人気キャラクターであり続けることができるのか?
●「サプライズ(SURPRISE)」「ストーリー性のある仕掛け(STORY)」「シェア(SHARE)」の「3つのS」
●「惜しい」と思うことがアイディアの源。常に「もったいない」を念頭に行動する
●「実施」だけでなく「話題となりメディアに取り上げられる」まで。企画は「一粒で二度美味しい」展開を考える
●「使用料フリー」「キャラ設定は『熊本生まれのやんちゃな男の子』のみ」で、誰もくまモンを「独占しない」 ほか

御用とお急ぎでない方は是非お越しください。
事務局連絡先:marunire@yahoo.co.jp
題名を「第52回読書会」としてください。

第51回読書会レポート



第51回知財系読書会 議事録

日時:2019年9月18日  19:00-21:00
場所:堀留町区民館4号室和室
課題図書:友利昴『オリンピックVS便乗商法 まやかしの知的財産に忖度する社会への警鐘』

第1章
【善意を踏みにじるアンブッシュ規制】学校等での壮行会が規制されたことが昨年大きな話題になった。
・IOCはマスメディアの露出を特に気にしているようだ。
・アンブッシュにはならないであろう批判的ツィートは規制されるのだろうか?
・アンブッシュと思われる行為を禁止する内容がチケットには記載されている。
・マラソンの様なオープンな会場で本当に規制できるかは疑問。
第2章
【選手にパンを売ってはいけないのか。】そもそもIOCに禁止する権利があるのか?(ないだろう)
・日本は契約に対する意識が低いが、事例を見ると日本だけではなく外国でも曖昧なようだ。
・選手村がクローズな空間ならこういう制限を課する事も有り得るのでは(本当にクローズかは不明)。
・今の時代なら、問題となる画像部分をAIでマッチングさせ即時にボカシを入れることが可能ではないか。生放送は数秒のディレイを入れるのが当然(NHK紅白等)。
・過去のアンブッシュCMはYouTubeにあると思う。→最近はCMばかり。IOCが公式スポンサーになったら消えるかもしれない。
第3章
【写真はいいが動画はダメ】写真は撮影者が著作権者で本来IOCに権利はない。アイドルのコンサートの場合は肖像権の観点から禁止している。肖像権として保護されるのは顔だけで、姿かたちまで権利はおよばない。肖像権やパブリシティ権は法律に規定はなく判例によって確立している。
・オリンピック関連の商標保護は第4条1項6号の規定。
<具体的には審査基準に記載 https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/kijun/document/index/15_4-1-6.pdf  >
・スーパーのオリンピックは商標を持っていない。
<確認したところoscロゴ(最初の社名である(株)オリンピックショッピングセンターに由来)は1988年出願の商標登録2228520他が権利存続中。Olympicの文字が入った商標は商願2007-68565等が拒絶。>
第4章
【「おめでとう東京」もアウトの衝撃】専門家の見解も結局はJOCの態度を示しているに過ぎない。
【オリンピック表現自粛ムード】ワールドカップ等と違ってオリンピックは都市の開催。だからリオではなく「ブラジル」なら言い逃れができる。
第5章
・本当に東京オリンピックは成功するのだろうか。真夏の開催では死者が出てもおかしくない。
・愛知万博ではミストカーテンが功を奏していたが、五輪では客席の密度が高いので疑問である。
・学生のボランティア、特に内申点を楯にして募集するのはおかしい。

■第51回知財系読書会 開催予定

1.課題図書 友利昴「オリンピックVS便乗商法: まやかしの知的財産に忖度する社会への警鐘」
https://www.amazon.co.jp/dp/4861827264/
2.発表者:@ama_sci
3.日 時:9月18日(水)19:00-21:00
4.場 所:中央区立堀留町区民館4号室和室
 東京メトロ日比谷線小伝馬町駅下車3番出口 徒歩5分
 東京メトロ日比谷線または都営地下鉄浅草線人形町駅下車A5番出口 徒歩5分
 都バス「秋26秋葉原-浜町中の橋-葛西」堀留町下車 徒歩2分
リンク先の地図をご覧ください。
https://www.nihonbashi5-chuo.tokyo.jp/horidome/

■自由競争と企業努力の賜物であったはずのアンブッシュ・マーケティング(便乗商法)は、いかにして悪質な「寄生商法」になってしまったのか?オリンピック委員会の主張する「使ってはいけない表現」には本当に法的根拠があるのか?2020年東京オリンピックが迫るいま、知財・商標保護に精通する著者が、オリンピック組織の身勝手な主張を精査。どこまでがセーフで、どこからがアウトなのか?線引がまったく不透明ゆえに「忖度」による自粛ムードに覆われるなか、豊富な事例を交えて確かな「答え」を提示する。マーケティング、広告宣伝、知的財産、そしてオリンピックにかかわるもの必読の書。

御用とお急ぎでない方は是非お越しください。
事務局連絡先:marunire@yahoo.co.jp
題名を「第51回読書会」としてください。